欧州の建物は、なぜ築何百年が多いの?

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「欧州の建物は、なぜ築何百年が多いの?」

よくある非常に多い質問ですよね。

文化の違い、住宅にまつわる政策の仕組みや歴史、住宅に対する考え方
の違いはその国その国においてあるという事を前置きさせて頂き、アドバイ
スさせて頂きました。

結論は、

「あなたは住まいを考えた時、どんなプランを描きますか?」

ということです。

ダラダラと書きますが…いつもお伝えしている住まいの考え方の柱なので、
どうしても長くなっちゃいますね。まとまりないのは、あしからず…

テレビでヨーロッパの町並みが紹介され、何百年も続く建物を見かけますね。
普通に修繕を繰返しながら住まれています。

現代の日本人の感覚では、住宅は新築後20~30年で大規模なリフォームを
しないといけない位老朽化が進み、やがてとうとう取り壊しをしないといけな
いくらいに痛むのかな、、、というイメージではないでしょうか。

今回のこの質問は、私も建築業界に携わって感じた筆頭の疑問でした。

調べれば欧州人は、親の世代が4世代持つ家を残そうと考えるので、建替え
は頻繁に繰返さないそう。2代目はその分のお金で内装をし、3代目も新築の
お金が不要なので、その分のお金で家具を買う。4代目位になると重厚な構
造、本物の内装、そして豪華な家具に囲まれて過ごすことができるわけです。

欧州人は、基本的に家に対する投資はいりません。もうご先祖さまが建てて
くれた家があるのですから、新たに建てる必要がないのです。だからヨーロッ
パの人たちにとってご先祖さまは偉大です。家に対する投資がいらなければ、
生活もかなり楽になります。多少物価や税金が高くてもやっていけるでしょう。
1ヶ月も2ヶ月もバカンスを取っても生活ができ、経済がまわってゆくのは、家
を買い何千万もの借金を抱えなくていいからかもしれません。

日本と欧米では、家の価値の評価に違いがあったりもします。日本だと住宅
の下落率が大きく、買った段階で1割下がり、築20年もすれば価格はほとん
どゼロになります。たいていの人は20年から30年の住宅ローンを組みます。
ローンを返している最中、もしなんらかの理由で家を売ると、自分が払った金
額よりも価格の下落の方が大きいので借金だけが残ってしまいます。しかし
アメリカの場合、年数がたっても住宅価格の下落が少ないので、借金だけ残
ることはありません。でも考えてみればそれが当然ですよね。DVDでもなんで
も自分のものを売って、モノはなくなって借金だけ残るのはおかしな話です。

欧米は、そもそも家は百年以上持たせようと考えますから、年齢と共に家族
構成が変われば、引越しを繰返しているそうです。家に値打ちがあるのでメ
ンテナンスさえしておれば買った時よりも高く転売できたりします。だから中古
住宅市場が盛んなんですね。

日本の住宅は、3000万とか5000万とかサラリーマンが一生掛かってなんとか
返せる額に設定されてますよね。国や会社は借金にしばりつけてお父さんを
一生働かせることができます。会社がどんなにこき使っても辞めません。
国は税金も払ってもらえます。好都合ですね。

日本は世界有数のお金持ちの国と言われますが、奇しくも住宅を中心に30年
サイクルで、このように半強制的にお金を回し続けているので、数字の上では
経済大国ですが、実際国民の余裕がないのが現状です。日本のようにこれだ
け収入が多いのに、物価が高く、庶民に時間と生活の余裕がないのは先進国
ではまれなんですね。

私も大人になって、建築業界に携わって知りました。国や物の成り立ち、歴史は
深い、そして世界は広いって痛感させられます。

良いものが必ずしも売れる、正論が何よりも勝るものでは決してない。良くも
悪くも現在の日本の住宅事情が、特に戦後の日本人にとって心地良かった、
としか説明がつけられないのかもしれません。

よく家電製品は、日本企業の技術力だったらもっと長持ちする製品が作れる
はずなのに、そうしてしまうと需要が枯渇してしまうから、ほどよく壊れるよう
に作られている、なんて冗談でも聞いたことありますよね。

そんな言い方はスッキリしないのであれば、もう少しリアルな感じだと、新しい
魅力的な機能が本当は同時発売できるのに、機能を1つずつ3ヶ月おきに付け
加えて発売して、買替需要を常に掘り起こし続けることを考えている。

なんていうのも、携わっている方にはよく理解できるお話しであり、住宅建築も、
商品となってしまった今、別物とはいかないですよね。代々受け継がれるような
ものが存在したら、ハウスメーカーのビジネスは成り立ちません。

だとしたら、1代で老朽化するような材質と工法を選ばざるを得ない?

どうしても今の認識だと、日本の建築=ハウスメーカーの商品としてしまいます
よね。実際、住宅の事を長持ち・継承なんて視点で真剣に考える人が増えると、
ハウスメーカーの商品は売れなくなってしまいます。

ハウスメーカーの貢献度は、建物の耐久性を問うだけに留まらないと考え支持
するのならば、広告宣伝費を使いながら30年後に再度商売するチャンスを増や
しておこうというのは、妥当な経営戦略でしょうか。

でも、原発問題と同じくらいの岐路に立ってはいませんか?

皆さん、海外にハウスメーカーなんてありませんからね。

アメリカやカナダでは、耐久性を考え住宅のシステムや工法があまりにも合理化
されているので、大手の住宅メーカーが存在できません。また、日本の大手のハ
ウスメーカーはあまりにも欧米に比べて遅れた産業ですので輸出ができ無いと言っ
ても間違いではありません。

もともと当然ながら日本の建築は国産の木で、代々伝わる経験と知恵で、適材
適所に木材樹種を選定し、職人が1棟ずつ建てるものでした。

その木は、ケヤキやクリなどの高級材ばかりでなく、ヒノキやヒバなど全国に植
林されている樹種でも耐久性があり強度もある材木です。

けれども、ハウスメーカーは輸入されたホワイトウッドを多く使用し、そもそもの
強度・耐久性ともにヒノキよりも劣っているので、加工して強度を増し、常時ペン
キ塗って保護しながら使えるように工夫しました。30年ごとの住宅建替えサイク
ルならば、コスト安で合理的でしょうか。

また、建物の構造も中心となる部分を単純な田の字構造とし100年超の耐久性
をもたせ、その周囲に下屋と呼ぶ建てまし構造をくっつけて、下屋の中に炊事場
と風呂場、便所を配置するものでした。

湿潤温暖な日本では、建物を乾燥させ、唯一木材を腐らせてしまう腐朽菌をシャ
ットアウトさせることが長持ちの秘訣ですので、煮炊きなど水蒸気の発生する部分
を外周部に追いやり、最悪30年ごとに下屋の部分を改修、建てなおしすることで、
家全体として100年以上の耐久性を確保しました。

今よりも樹種などの特性が解明されてもいない時代に、適材適所に木材を振り分
け、耐久性を考えた住まいの合理化を図っていた先人の経験と知恵は流石ですね。

というより、どこで狂ったのか当たり前の文化だったのでしょうか。

現在の住宅は、基礎の部分に鉄筋コンクリートを使用しますので、基本的には
60年ほどの耐久性ですが、基礎コンクリートの配筋を錆から守る工法もあるので、
やろうと思えば120年耐久の基礎も可能です。

木材は切り刻んで石油系接着剤で固めたりせず、木そのまま乾燥状態に維持
すれば、120年はおろか200年でも300年でも持つ材料です。木材の耐久性を最
大限に発揮するためには釘や締めつけ金具など50年しかもたない金属類をで
きるだけ少なく使う工法が良いですよね。

現代の人に説明すると、分かり易いと言われるのが、「昔の住宅は耐久性はあっ
たが、断熱性と耐震性とデザイン性が無かった」ということです。

裏返せば、今は耐久性だけがとにかくない…。

本当はもう十分現在の日本の技術で、耐久性もプラスした住宅を造れるのに…

安く提供しなるべく皆が家を持てるようにした結果が、粗悪品のオンパレー
ドになってしまったのか。

いやはや、皆が30年ごとに建替えを繰返せれば何にも問題ないことかも知れ
ませんが、難しい岐路に立っていますね。住宅を商品として捉えてしまうのは
危険なのかもしれません。生きていく為に、最低限「雨風しのぐ箱がいる」と原
点に立ち返って考えてみませんか。

住宅も使い捨て商品と捉えてしまうと、一生懸命値切り倒してしまう始末…

メーカーも安く造らざるを得ない状況を作ったのは消費者の方かもしれませ
んよ。

せめて自分が死ぬまでの60年持つ住宅から考えてみませんか。

30、40年後に大リフォームするか、建替えるより圧倒的ローコストですから。

私は思うんです。私もまだ30代ですが、年金に限らず住まいのシステムだっ
てもう古いって

難しいことも多いけど、いつも質問や問い合わせの真意には、これまでも皆
さん「お金」というキーワードが必ず出てきます。

住まいにお金を掛け過ぎてはいませんか?

あなた達○○家は、何年住まいを維持していくのですか?

あなたなら、住まいに対してどんなプランを構築しますか?

長い…自分でもツッコミ

自分自身が納得できるものが最善です。

そんな説明をした意見交換会でした。

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